評価方法

SIAS(Stroke Impairment Assessment Set:脳卒中機能障害評価法)の評価方法とそのポイント

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SIAS(Stroke Impairment Assessment Set:脳卒中機能障害評価法)とは

SIASとは、NIHSSやFMAのように脳卒中の機能障害を総合的に評価するものです。9種類の機能障害に分類される22項目からなり、各項目とも3点あるいは5点満点で評価し、障害が少ないほど得点が高くなります。

 

特徴として、麻痺側上下肢の運動機能に加え、感覚・筋緊張・関節可動域・疼痛・体幹機能・高次脳機能(視空間認知・言語)・非麻痺側機能と多岐にわたる評価項目があり、脳卒中による機能障害を多面的に、かつ比較的に簡便に評価することが可能です。

 

SIASの方法

使用物品:評価用紙、打腱器、握力計、メジャー

所要時間:10分程度

評価項目:

  • 麻痺側運動機能
    ・上肢近位テスト(Knee-Mouth Test)  5点満点
    ⇒座位で麻痺側上肢の手部を対側膝上から挙手し口まで運ぶ
    その際肩は90°外転させる
    ・上肢遠位テスト(Finger-Function Test)  5点満点
    ⇒手指の分離運動を、母指から小指の順に屈曲・小指から母指の順に伸展する
    ・下肢近位テスト(Hip-Flexion Test)   5点満点
    ⇒座位にて股関節を90°より最大屈曲させる
    ・下肢近位テスト(Knee-Extention Test)  5点満点
    ⇒座位にて膝関節を90°屈曲位から伸展させる
    ・下肢遠位テスト(Foot-Pat Test)  5点満点
    ⇒座位または臥位にて踵部を床に着けたまま足部の背屈・底屈を行う
  • 筋緊張
    ・上肢腱反射/下肢腱反射   3点満点
    ⇒上肢では上腕二頭筋・上腕三頭筋の腱反射、下肢では膝蓋腱反射とアキレス
    腱反射の亢進もしくは消失、またはクローヌスの出現を評価する
    ・上肢筋緊張/下肢筋緊張   3点満点
    ⇒上肢では肘関節の、下肢では膝関節の他動的屈曲進展時の筋緊張を評価する
  • 感覚機能
    ・上肢触覚/下肢触覚  3点満点
    ⇒上肢では手掌、下肢では足背の触覚を評価する
    ・上肢位置覚/下肢位置覚  3点満点
    ⇒上肢では示指あるいは母指で、下肢は母趾で評価する
  • 関節可動域
    ・上肢関節可動域  3点満点
    ⇒他動的肩関節外転の可動域を評価する
    60°以下が0点、60°~90°以下が1点
    90~150°以下が2点、150°より大きい場合は3点
    ・下肢関節可動域  3点満点
    ⇒膝関節を完全伸展した状態での足関節背屈の可動域を評価する
    -10°以下が0点、-10°~0°以下が1点
    0°~10°以下が2点、10°より大きい場合は3点
  • 疼痛  3点満点
    ⇒脳卒中後に出現する肩関節・手関節などの関節に加え、視床痛などの中枢性疼痛
    も含めて評価する(脳卒中に直接関係ない痛みは除外)
    0点:睡眠を妨げるほどの著しい疼痛
    1点:睡眠を妨げるほどではない疼痛
    2点:加療を要しない程度の疼痛
    3点:疼痛の問題がない
  • 体幹機能
    ・腹筋力  3点満点
    ⇒車椅子または背もたれのある椅子において、45°後傾した姿勢から
    背もたれから両肩をはなして座位が取れるかを評価する
    0点:座位がとれない
    1点:抵抗がなければ座位になれる
    2点:検者に胸骨部を軽く圧迫されても座位になれる
    3点:強い抵抗でも座位になれる
    ・垂直性テスト  3点満点
    ⇒0点:座位保持ができない
    1点:常に側方に傾き指示しても垂直位に修正できない
    2点:指示すれば垂直位に座れる
    3点:正常に座位をとれる
  • 視空間認知   3点満点
    ⇒50cmの巻き尺を被検者の前方約50cmに水平に差し出し、中央を非麻痺側
    の母指と示指でつまませる。2回行い中央からのずれが大きい方を採用する。
    0点:ずれが15cm以上
    1点:ずれが5cm以上15cm未満
    2点:ずれが3cm以上5cm未満
    3点:ずれが3cm未満
  • 言語機能   3点満点
    ⇒理解面と表出面から失語症に関して評価する
    0点:全失語
    1点:中等度の失語
    2点:軽度の失語
    3点:失語の所見なし
  • 非麻痺側機能
    ・非麻痺側大腿四頭筋力   3点満点
    ⇒通常のMMTと同様の方法で測定する
    0点:重力に抗せず
    1点:中等度の筋力低下(MMT4程度まで)
    2点:軽度低下
    3点:正常
    ・非麻痺側握力   3点満点
    ⇒非麻痺側の握力を座位・肘伸展位で測定し、2回の計測のうち大きい方を
    採用する
    0点:0kg
    1点:0kgより大きく10kg以下
    2点:10kgより大きく25kg以下
    3点:25kgより大きい

 

SIASはどのような際に使用されるか

脳卒中の機能障害を比較的簡便に、多面的に評価できるので、急性期のベッドサイドから使用できます。また機能障害の変化をとらえやすいため、評価を繰り返し機能障害の改善・悪化を経時的に評価するのにも適しています。
さらに、麻痺側の運動障害だけでなく体幹機能・非麻痺側機能・高次脳機能などADLや歩行能力にかかわる様々な機能を評価できるため、脳卒中の機能的な予後予測の研究に使われていることも多い印象です。

 

SIASを評価するうえでの実際の臨床の注意点

簡便に評価できる一方で、評価の尺度としては最大でも0~5点の6段階であり、各機能障害の程度や変化の詳細を評価することは難しくなっています。そのため、身体機能・高次脳機能とも他の詳細な評価を併用する必要があります。

 

SIASを評価するうえで、わかりやすい書籍

1)千野直一,里宇明元,園田茂,道免和久:脳卒中患者の機能評価 SIASとFIMの実際. シュプリンガー・フェアラーク東京,1997

2)千野直一,椿原彰夫,園田茂,道免和久,高橋英寿:脳卒中の機能評価―SIASとFIM[基礎編].金原出版,2012

*慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室のホームページにもSIASの詳細や評価用紙・評価方法が記載されています。

 

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