評価方法

FIM:機能的自立度評価(Functional Independence Measure:FIM)の評価方法とそのポイント

投稿日:2016年11月23日 更新日:

リハビリテーション業界において、日常生活動作(ADL)の回復に向けた働きかけが重視されていますが、リハビリテーション室では可能な動作が病棟や在宅生活では困難な場合があり、いわゆる「できるADL」と「しているADL」の差を的確に理解することがセラピストには求められます。

 
ここでは「しているADL」の評価として広く使用されている機能的自立度評価法(Functional independence mesure:FIM)について、評価項目や応用法などをお伝えします。

 

FIMの評価項目と特徴

FIMは、日常の生活場面でしていることを評価します(しているADL)。評価項目は、運動項目13項目と認知項目5 項目の計18 項目からなり、7 段階で評価します。

 

評価項目には、運動項目13項目として、セルフケア(食事、整容、清拭、更衣〔上半身・下半身〕、トイレ動作)、排泄コントロール(排尿コントロール、排便コントロール)、移乗(移乗・ベッド・いす・車いす〕、移乗〔トイレ〕、移乗〔浴槽・シャワー〕)、移動(屋内の平地歩行または車いす、階段)があります。認知項目5 項目として、コミュニケーション(理解、表出)、社会的認知(社会的交流、問題解決、記憶)があります。Barthel Indexとの違いとして、コミュニケーションと認知項目の評価が入っていることです。

 

実際の生活場面で、どのように患者が生活しているか点数に表します。各項目を1 〜7 点で評価し、最低点は18 点、満点は126 点となります。評価方法には、基準が定められており、誰が評価しても点数に差が生じにくく、信頼性が高いという特徴があります。

 

FIMの点数付けの大まかな基準

採点基準は7 段階で、運動項目と認知項目で少し違いがあります。7 点と6 点は介助者が必要ない、つまり1 人でできることとなります。6 点の「通常以上の時間がかかる」の基準は一般に通常時間の3倍以上を考えてください。

 

5 点以下は、介助者が必要になる状態ですが、5 点は、介助者は直接患者に触れない状態です。つまり監視、助言・指導する、動作を実施するための準備のみを介助する状態です。

 

4 点以下は、直接介助として介助者が対象者に触れる状態になります。どの程度の割合で介助が必要かで分けられています。介助の割合が25%未満は4点、25〜50%は3点、50〜75%は2 点、75%以上は1点になります。
FIMの各得点にはチェック項目が書かれていますが、項目のすべてをしていなければ、その得点にならないことに注意してください。

 

 

日内変動がある場合の点数(最低値を採る)場合は?

1 日に同じ動作が何回もあり、階段やトイレ動作などで日内変動があるときなどは最低値を採ります。つまり、最も介助を要する場面での点数を評価します。

平均点を採る場合は?

更衣や入浴動作のような、連続動作や整容動作のように違う項目が複数含まれる場合となります。整容動作において、「歯磨き、洗顔、手洗い」の点数に違いがあるときなどです。

 

 

FIM利得を評価できるようになるメリット

FIM利得とはリハビリテーションの効果として用いられることが多いもので、退院時FIMから入院時FIMを引いた数値であり、ADLがどの程度改善したのかという指標となります。

 

ただし、全介助レベルの患者では改善の難しい患者が多く含まれるためFIM利得小さくなり、軽介助レベルでは天井効果より利得が小さくなることを考慮する必要があります。それに比して中等介助の患者の利得は大きいことが多いようです。

 

例えば平成28年度に改定された診療報酬改定時には、回復期リハビリテーションにおいて、FIMで一定水準以上の効果を出さなければ単位数を減算するという指針も出ており、今後ますます重要性が増していくと予想されます。

 

以下にFIMの評価項目を示します。

【運動項目(13項目)】

セルフケア     食事、整容、清拭、更衣上半身、更衣下半身、トイレ動作
移乗        ベッド・椅子・車いす移乗、トイレ移乗、浴槽移乗
移動        移動(歩行・車いす)、階段
排泄コントロール  排尿管理、排便管理

 

【認知項目(5項目)】

コミュニケーション  理解、表出
社会的認知      社会的交流、問題解決、記憶

 

 

 FIMの評価方法

FIMを評価する際は、まず採点の基本原則を理解することと、18項目それぞれがどのような範囲(内容)を評価しているかを正しく把握することが重要です。

 

まずは基本原則です。FIMは介助者の有無や補助具の有無・介助量で1点~7点の7段階で採点します。以下が基本的な採点の考え方です。

採点基準:

【介助者不要】

7点 完全自立

6点 修正自立:装具などの補助具が必要/時間がかかる(通常かかる時間の3倍以上)/安全性の配慮が必要

【介助者必要】

5点 監視・準備:監視、指示、促し、準備のために介助者が必要
手出しは不要、介助者は患者に手を触れる必要はない

4点 最小介助:実際に患者に触れて介助する
介助量は25%未満、患者は自分で75%以上実施している

3点 中等度介助:介助量は50%未満、患者が自分で半分以上は行っている

2点 最大介助:介助量は75%未満、患者は自分で25%以上行っている

1点 全介助:介助量は75%以上、患者は自分では25%未満しかしない

 

次に、評価項目とその範囲(内容)です。

【運動項目】

食事:食べ物を口まで運び、咀嚼し、嚥下する
調理・配膳は含まない(配膳後一口大に切り分けるなど食べやすくする配慮は含む)

整容:洗顔、整髪、歯磨き、手洗い、髭剃りまたは化粧

清拭:首から下の体を洗う
洗髪・背部の洗体は含まない

更衣・上半身:上半身の更衣(袖を通す・首を通す・服を下げる・ボタンを留める)

更衣・下半身:下着・ズボン・靴・靴下の更衣

トイレ動作:服を下げる、紙で拭く、服を上げる

排尿管理:尿道括約筋を開くべき時に開くこと
尿を出したい時に出し、出したくない時には出さないこと

排便管理:肛門括約筋を開くべき時に開くこと
便を出したい時に出し、出したくない時には出さないこと

ベッド・椅子・車いす移乗:ベッド・椅子・車いす間の乗り移りのすべての段階

トイレ移乗:便器に移ることおよび便器から離れること

浴槽・シャワー移乗:浴槽または浴槽での入浴をしていない場合はシャワー室に入り、そこから出る動作
脱衣所から浴室までの移動は含まない

 

移動(歩行・車いす):平地での歩行、車いすの使用(退院時の移動手段で考える)

階段:階段の昇り降り

 

【認知項目】

理解:相手が伝えようとしていることの意味を正しくとらえること
その先の判断力は問わない

表出:伝えたい内容を相手にわからせること
その意味内容が状況と合っているかは問わない

社会的交流:自分の言動が他者にどの程度迷惑や不快感を与えているか

問題解決:生活上の問題解決

記憶:よく出会う人を認識しているか/日課を覚えているか/他人からの依頼を実行できるか

 

 

評価の流れとしては以下の様に考えます。

①まず介助者の有無で6・7点と5点以下に分ける

②補助具の使用・動作にかかる時間・安全への配慮の有無で6点か7点かに分ける

③手を出しての介助の有無で5点と4点以下に分ける

④介助量によって1~4点に分ける

*採点に差が出た場合は低い方を採用します。

 

この時、④の中でも特に2・3・4点に分けるのが一番迷うのではないかと思います。

基本原則では介助量25%未満を4点、25~50%未満を3点、50~75%未満を2点と考えますが、介助量の割合の判断は基本原則を理解しただけでは難しいからです。

介助量の割合の判断にはいくつかのパターンがあるので、それを覚えておくと判断しやすくなるのでご紹介します。

 

パターン1:活動や動作を分解し、何項目中何項目を自力で行っているかで割合を考える

例)更衣・上半身
「片袖を通す」「首を通す」「もう一方の袖を通す」「服を下げる」のうち、3動作を自力で行っていれば3/4=75%は自力で行っているということで4点。2動作を自力で行っていれば3点。1動作を自力で行っていれば2点。

例)整容
洗顔、整髪、歯磨き、手洗い、髭剃りまたは化粧の5項目のうち、何項目実施しているか。
洗顔・歯磨きはできるが、ほかの3項目に介助が必要なら2/5=40%自力で行っているということで3点。

 

パターン2:項目独自に点数の目安が決まっているため、典型例に従って評価する

例)ベッド・椅子・車いす移乗
「念のために触れている程度の介助」で4点、「軽く引き上げる介助」で3点、「しっかり引き上げて回す介助」で2点。

例)移動(歩行・車いす)
まず50mの移動が可能かどうかで判断する。50mの移動が可能な場合、介助者が不要なら6・7点、介助者が必要なら介助量に応じて3~5点となる。50m移動が不可能な場合は、15mの移動が自立していれば5点、15mの移動に介助が必要なら2点、不可能な場合は1点とする。

例)階段
12~14段の昇降が介助者不要で可能なら6・7点、介助者が必要なら介助量に応じて3~5点となる。12~14段の昇降を実施していない場合は、訓練場面のできるADLでかまわないので、4~6段の昇降が可能かを確認する。4~6段が自立していれば5点、介助が必要なら2点、不可能な場合は1点とする。

例)排泄コントロール

失敗の頻度で採点する(7点:失敗しない、5点:月1回未満、4点:週1回未満、3点:1日1回未満、2点:毎日)

または排泄のための介助の頻度で採点する(5点:週1回以下、4点:週2~6回、または毎日かつ自力の回数の方が介助より多い、3点:毎日かつ自力=介助、2点:毎日かつ自力<介助、1点:介助のみ)

 

それぞれの項目がどちらのパターンに当てはまるか、採点の具体例は参考文献に詳細が記載してあるのでご参照ください。

具体例 例えば、食事に関しての具体例は下記のようになります。

A.食事
食事が適切に用意された状態で、適当な食器を使って食物を口に運ぶ動作から咀嚼し嚥下するまでが含まれる

介助者なし

7.完全自立・・・テーブルまたは食事代の上に普通に出された皿から全ての正常の食物を処理して食べ、そして茶碗またはコップから飲む。患者は橋またはスプーンなどを使って食物を口まで運び、咀嚼し嚥下する。

6.修正自立・・・自助具・補助具が必要、または食べるのに通常以上の時間がかかる。また、食物の性状の変更やきざみ食が必要である。あるいは安全性の考慮が必要になる。部分的に非経口的栄養または胃瘻栄養のような他の栄養法に頼っている場合、患者自らそれを管理している。

 

介助者あり

5.監視または準備・・・監視(例えば待機、指示または促し)、または準備(装具の装着等)が必要。あるいは配膳後に容器を開ける・肉を切るなどの介助が必要である。

4.最小介助・・・患者は食事動作の75%以上を行う。

3.中等度介助・・・食事動作の50%から74%までを行う。

2.最大介助・・・食事動作の25%から49%までを行う。

1.全介助・・・食事動作の25%未満しか行わない。または、患者は経口的に十分な食事を食べるまたは飲むわけではなく、部分的に非経口的栄養または胃瘻栄養のような他の栄養法に頼らねばならず、患者自らは管理していない。

 

*2~4点の部分介助の採点の仕方は、「かき集める」「口に運ぶ」「飲み込む」の3動作をどの程度自力で行っているかで判断する。1項目であれば1/3=33%自力で行っているので2点、2項目であれば2/3=66%で3点と考える。しかし、飲み込むことのみ自力で行い、集める・口に運ぶが介助の場合は例外として1点となる(食事は動作と嚥下両方を評価するが、主力は動作であるため)。

 

*配膳前に食形態の調整を行っている場合は6点、配膳後に一口大に刻むなど配膳後の場合は5点となる。

*通常のスプーンやフォークで自立している場合は7点でよい(箸の使用の可否は採点には含めない)。

 

 

認知項目のFIM評価のポイント

認知項目は運動項目と若干考え方が異なるので注意が必要です。

採点の基本原則は以下の様に変わります。

採点基準:

【理解・表出・問題解決】
7点 複雑な課題・簡単な課題の理解/表出/問題解決が可能

6点 大きな声で話す・筆談などの配慮、または時間をかければ複雑な課題・簡単な課題の理解/表出/問題解決が可能

5点 簡単な課題での理解/表出/問題解決が可能、または介助・助言・配慮が必要な機会がまれに(10%未満)ある

4点 簡単な課題での理解/表出/問題解決が75~90%可能

3点 簡単な課題での理解/表出/問題解決が50~74%可能

2点 簡単な課題での理解/表出/問題解決が25~49%可能だが、半分以上の機会で促しが必要

1点 簡単な課題での理解/表出/問題解決にあたり、介助・助言・配慮が必要な機会が75%以上ある

 

*複雑な課題とは、退院後の生活プランを立てる・服薬や金銭について・集団での会話・複雑な内容・抽象的な内容・テレビや新聞の話題・冗談などがあります

*簡単な課題とは、必要時にナースコールを押す・必要な介助を頼めるなどがあります。

 

【社会的交流】

7点 常に他者と適切な関わりをもつことが可能

6点 他者と適切なかかわりを持つために、内服薬や慣れが必要

5点 緊張している時、あるいは不慣れな状況では助言や配慮が必要だがまれ(10%未満)である

4点 75~90%の場面では適切に交流している

3点 50~74%の場面では適切に交流している

2点 25~49%の場面では適切に交流している

1点 25%未満の場面しか、または全く適切に交流していない

*適切にかかわれていない例としては、かんしゃくを起こす・些細なことで怒る・大声を出す・暴力をふるう・過度に他人との交流を拒む・悪態をついたり相手をののしる、などがあります。

 

【記憶】

7点 日常生活の日課/かかわりの深い人物/他人からの依頼内容を常に覚えている

6点 メモやタイマーなどの道具を活用すれば覚えている

5点 緊張している時、あるいは不慣れな状況では助言や配慮が必要だがまれ(10%未満)である

4点 75~90%の場面を認識し記憶している

3点 50~74%の場面を認識し記憶している

2点 25~49%の場面を認識し記憶しているが、半分以上は助言や配慮が必要

1点 25%未満の場面しか認識し記憶していない

認知項目も、介助が必要な割合について判断するのが難しいのですが、1日の中でどの程度か、何回接する中で何回配慮が必要だったかという視点で考えると採点しやすくなります。また、理解・表出では短文レベルが3点、単語やジェスチャーで2点、と典型例が提示されているものもあります。

 

 

FIMはどのような際に使用されるか

FIMは他のADL評価に比べてADL能力の程度や変化を詳細に記録できるため、特に回復期リハビリテーションの効果判定として使用されることが多くなっています。半面、評価項目が多く日常生活を多岐にわたって観察しないと評価が行えないことから急性期で日常的に使用されることは比較的少ない評価です。

しかし、FIMは動作や介助量を細分化して評価できることから、ADLの各動作のどの要素が困難でどのような環境調整や配慮・介助が必要かわかりやすく、目標設定やプログラム作成の一助になります。

 

 

FIMを評価するうえでの実際の臨床の注意点

FIMは評価項目・採点方法とも細かく定義されていますが、それでも評価者によって採点に差が出やすいという特徴があります。環境や介助者・時間帯が変わることで患者の能力も変化することがあるため、点数の差がなぜ生じたかについてスタッフ間で話し合い、介助方法や環境調整などを統一していくことがADL向上につながります。患者にかかわる多職種で評価ができるよう、評価方法について情報共有し、結果について話し合える環境を作っていくことが重要です。

 

また、FIMにも天井効果があり、高次脳機能障害が主体の患者や内部障害の患者など身体機能の障害が軽度である場合は高得点が続くことがあります。その場合は、IADLの評価や内部障害に特化したADL評価も併用する必要があります。

 

 

 

FIMを評価するうえで、わかりやすい書籍

1)慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室:FIM講習会資料・FIM 医学的リハビリテーションのための統一データセット利用の手引き

2)三輪書店:作業療法ジャーナル 38/7 2004年増刊号 EBOT時代の評価法 厳選25

3)千野直一,里宇明元,園田茂,道免和久:脳卒中患者の機能評価 SIASとFIMの実際

慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室のホームページにもFIMの詳細や具体例・講習会で出た質疑応答などが掲載されています。

 

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